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AIショートドラマの制作費はいくらか——1 億回再生『非妖哉』の 1 話 6 分は、定価なら 18〜144 ドル、報道では約 1 万元

2 話で 1 億回再生、ほぼ 1 人で制作された AIショートドラマ『非妖哉』。実額は推測せず、Google・MiniMax・Runway・Alibaba Cloud・Kling・BytePlus の公式料金表を 1 秒単価に揃え、1 話 6 分を定価で買うといくらかを計算しました。18〜144 ドルという見積もりと報道の「約 1 万元」の間を埋めるのは、再生成の倍率・解像度と音声のグレード・モデルと入口の選択という三つの変数です。

Kaya Rowan約 13 分
横棒グラフ「1 分の映像を、定価で買うと」。動画生成モデル 7 本の公式単価を 60 秒分に換算した USD 表示。Veo 3.1 Lite と Runway Gen-4 Turbo が 3 ドル、MiniMax H3 が 4.8 ドル、Veo 3.1 Fast が 6 ドル、Runway Gen-4.5 が 7.2 ドル、Seedance 2.0(BytePlus 経由)が 18 ドル、Veo 3.1 Standard が 24 ドル。最安と最高で 8 倍。

定価だけで計算すると、1 話 6 分の AIショートドラマは 18〜144 ドルで作れます。 6 社の公式料金表を 1 秒あたりに揃え、720p 級・再生成なしという非現実な前提で 360 秒を掛けた数字です。 報道された実額は 1 話約 1 万元——制作者本人の発言、KAI-YOU の換算で約 24 万円。 差を作っているのは映像の秒数ではなく、捨てた秒数・解像度と音声のグレード・どのモデルをどの入口から呼ぶかの三つです。

きっかけは KAI-YOU の AIショートドラマ『非妖哉』たった2話で1億回再生を記録 中国の映像クリエイターがほぼ1人で制作(2026-09-01)。 実額は推測しません。以下の金額は全て見積もり(定価ベース)、読取日は 2026-09-03 です。

公開されている事実——2 話・1 億回・ほぼ 1 人・LibTV・1 話約 6 分・約 1 万元

報道と制作者の発言から取れる事実だけを並べます。どのカットにどのモデルを使ったかは非公開です。

事実数字・内容出典
公開話数2 話。7 月 23 日『哑女小荷』、8 月 14 日『莽夫阿牛』KAI-YOU
再生と反応累計 1 億回超。いいね 400 万件超、フォロワーは千人台から 50 万人前後へKAI-YOU、新京報
制作体制脚本・映像生成・編集を 1 人。声のみ外部の声優KAI-YOU、新京報
制作ツール複数モデルを統合した LibTV。報道が名指しする統合モデルは Kling 3.0(可灵 3.0)と Wan 2.6深圳新聞網
1 話の制作期間約 10 日KAI-YOU、新京報、封面新聞
1 話の尺第 2 話は「7 分未満」。別の記事は「6 分」極目新聞、網易
1 話の実額第 1 話は約 2 万元、第 2 話は 8,000 元余り、平均して 1 万元余り新京報(制作者の発言)
画風を決めた最初の 1 枚約 10 万ポイント、約 6,000 元相当。3〜4 日新京報、封面新聞、KAI-YOU
再生成の実例「子どもが絵に入る」カットを 40〜50 回新京報、深圳新聞網、KAI-YOU

実額は新京報の 专访AI短剧《非妖哉》作者:两集涨粉50万、单集成本一万多(2026-09-01)にある 制作者「不吃榨菜」氏の言葉です。第 2 話が安いのはポイントキャンペーンが効いたからで、 最初の 1 枚の元換算は「モデルによって少し違う」と添えています。

ツールは深圳新聞網のインタビュー(鳳凰網掲載、 深圳小伙手搓AI短剧爆火!单集涨粉超40万,播出10天点赞破300万)から。 LibTV を「Kling 3.0、Wan 2.6 など複数の主流モデルを統合したツール」と紹介しています。尺は極目新聞の LibTV又火了中式志怪风的AI短剧《非妖哉》が第 2 話を「7 分未満」、 網易の 抖音获赞400万,「艺术成分极高」的《非妖哉》强在哪里が「6 分」。 本稿は 1 話 = 6 分 = 360 秒 を単位に置きます。

6 社の公式料金表を「1 秒あたり」に揃え、1 話 6 分を定価で買う——18〜144 ドル、再生成ゼロの前提で

料金表の単位は社ごとにばらばらです——秒あたりの USD、クレジット、元、係数付きの秒。 全部を「採用された映像 1 秒」に揃えました。通貨は各社の表記どおりです。

提供元モデル・グレード公式単価(1 秒)備考
Google(Gemini API)Veo 3.1 Lite 720p / 1080p$0.05 / $0.08音声込みが既定。4K 非対応
Google(Gemini API)Veo 3.1 Fast 720p / 1080p / 4K$0.10 / $0.12 / $0.30同上
Google(Gemini API)Veo 3.1 Standard 720p・1080p / 4K$0.40 / $0.60720p と 1080p は同額
MiniMaxMiniMax-H3 768P / 2K$0.08 / $0.13音声無料、画像 5 枚まで無料・6 枚目から $0.04
MiniMaxMiniMax-H3-Max 480P / 768P$0.05 / $0.08T2V・I2V のみ。入力素材は現時点で課金されない
Runway(自社モデル)Gen-4 Turbo / Gen-4.5$0.05 / $0.121 credit = $0.01。5 / 12 credits
Runway(他社モデル経由)seedance2 480p・720p / 1080p / 4K$0.36 / $0.40 / $1.5036 / 40 / 150 credits
Runway(他社モデル経由)veo3.1_fast 音声あり / なし$0.15 / $0.1015 / 10 credits
Runway(他社モデル経由)hailuo3 768P / 2K$0.10 / $0.1510 / 15 credits
Alibaba Cloud Model Studiowan2.6-t2v 720P / 1080P0.6 元 / 1 元北京リージョンの定価。キャンペーン割引は含まず
BytePlus(ByteDance 系、LAS 経由)Seedance 2.0 480P / 720P / 1080P / 4K$0.141 / $0.303 / $0.758 / $1.5380.303 USD/秒 × 解像度係数 0.4651 / 1 / 2.5 / 5.0761
Kling(Web 版クレジット)VIDEO 3.0 720p 無音 / 1080p 無音 / 720p 音声 / 1080p 音声6 / 8 / 9 / 12 CreditsUSD 換算は会員プラン依存のため未換算

出典:Google の Gemini Developer API pricing — Veo 3.1、MiniMax の Pay as You Go — Video Generation Output Pricing、Runway の API Pricing & Costs、Alibaba Cloud の wan2.6-t2v モデル情報(Model Studio)、BytePlus の Enhanced/basic video generation — Billing、Kling の Kling VIDEO 3.0 Model Pricing

読めなかったものも書いておきます。 Kling の開発者向け API 価格表と、ByteDance の中国国内向け(火山方舟)の Seedance 価格表は、ブラウザで描画しないと本文が出ないページで読めませんでした。Kling は公式ガイドの Web 版クレジット表、 Seedance は BytePlus と Runway 経由の 2 経路で代替しています。

計算します。1 話 6 分 = 360 秒。720p 級の単価を掛け、再生成の倍率を ×1・×3・×10 の三行で置きます。 ×1 は「全カット一発採用」という下限です。

単価の帯(720p 級)該当例×1(再生成なし)×3×10
$0.05/秒Veo 3.1 Lite、Runway Gen-4 Turbo、MiniMax H3-Max(480P)$18$54$180
$0.08/秒MiniMax H3 768P$28.8$86.4$288
$0.10〜0.12/秒Veo 3.1 Fast、Runway Gen-4.5、Runway 経由 hailuo3$36〜43$108〜130$360〜432
$0.303/秒Seedance 2.0 720P(BytePlus)$109$327$1,091
$0.36/秒Seedance 2.0 720p(Runway 経由)$130$389$1,296
$0.40/秒Veo 3.1 Standard$144$432$1,440
0.6 元/秒Wan 2.6 720P(Alibaba Cloud)216 元648 元2,160 元

表題の「18〜144 ドル」は ×1 の行の両端です。

報道の「約 1 万元」をここに重ねるには為替が要ります。仮に 1 ドル = 7 元なら約 1,400 ドル——×10 の行とほぼ同じ高さです (この為替は本稿の仮定です)。ただしこれは検証ではありません。報道額には画像生成の約 6,000 元やポイント価格が含まれ、 動画 API の定価とは勘定が違います。表が言えるのは一つ—— 採用された 6 分の映像そのものは、どのモデルでも 1 万元の桁にはならない。桁を作っているのは別の変数です。

変数①:採用率(歩留まり)——同じカットを 40〜50 回回すと、請求書は秒数ではなく試行回数で決まる

新京報の記事に、作り手なら息が止まる一段があります。第 2 話の「子どもが絵に入る」カット—— 「巻物が麻袋のように頭からかぶさって、縮んで、二度跳ねて、拾い上げられる」動きが欲しかった。 「粒子が絵に吸い込まれる」特効感にはしたくなかった。三十数回試して通らず、 後回しにして戻ってさらに十数回、合計四五十回だったといいます。

このカットが 5 秒で、45 回生成して 1 本採用したなら、生成は 225 秒、採用は 5 秒。 実効単価は定価の 45 倍です。$0.10/秒のモデルなら、採用 5 秒の定価は $0.50、払ったのは $22.5。

これは極値で、全カットが 45 倍になるわけではありません。ただ、極値カットが一つ入るだけで倍率は動きます。 ×3 と ×10 をどこに置くかは、作り手の過去のカットにしか書いていません。 私なら、直近 3 本で「生成した秒数 ÷ 採用した秒数」を数えて初期値にします。

料金表の側の事実も一つ。MiniMax も BytePlus も「成功したタスクだけ課金」「出力秒のみ課金」と明記しています。 つまりここで言う倍率は、失敗した回数ではなく、成功したのに気に入らなくて捨てた回数です。 モデルは仕事をした。捨てたのはこちらで、請求書はそれを区別しません。

「稼働した秒数」ではなく「回した回数」で請求書が伸びる構造は、当ブログの 常時稼働エージェントの請求書はステップ数の二乗で伸びると同じ骨格です。 あちらはテキストのループ、こちらは映像の再生成。採用されなかった出力に定価を払う点が同じです。

単格漫画:深夜的一人工作室。创作者背对画面坐在桌前,只有一台笔记本电脑。身后一台小型打印机吐出长长的收据,纸带爬上墙壁变成一格格电影胶片,每一格画的都是几乎一样的同一个镜头,几十格。打印机附近的纸带上印着「×43」,废纸篓里塞满揉皱的同一张画面。桌上一张黄纸写着「6 分」
6 分の作品と、43 回の再生成。長いのは尺ではなく、試行回数のほうです。

変数②:解像度と音声——同じ提供元の中で単価は 2〜11 倍動く

表を横に読みます。同じ提供元でグレードを一つ上げると、単価はどれだけ動くか。

提供元・モデル下のグレード上のグレード倍率
Kling VIDEO 3.0(クレジット)720p 無音 61080p 音声 122 倍
Google Veo 3.1Lite 720p $0.05Standard 720p $0.408 倍
Google Veo 3.1 Fast720p $0.104K $0.303 倍
MiniMax H3768P $0.082K $0.131.6 倍
Alibaba Wan 2.6720P 0.6 元1080P 1 元1.7 倍
BytePlus Seedance 2.0(係数)480P 0.46514K 5.076110.9 倍

Kling の表が一番読みやすい。720p で音声を切れば 6、1080p で音声を乗せれば 12——同じ 5 秒がスイッチ二つで 2 倍。 Seedance 2.0 の係数は 480P から 4K で 10.9 倍、4K の 1 秒は 480P の 11 秒分です。

縦 9:16 で 4K が要るカットはほとんどなく、会話の切り返しに 1080p も要りません。 それでも「全話 1080p・音声込み」を既定にすると、前の表は最初から 1.6〜2 倍で始まります。 グレードはカット単位で決める——広い画で家具の彫りを見せたい 1 カットだけ上げればいい。

変数③:モデルと入口——同じ Seedance 2.0 でも入口で単価が違い、別のモデルなら 8 倍違う

料金表を並べて初めて見える変数です。同じモデルが、入口によって値段が違う。

モデル(720p 級)入口 A入口 B
Seedance 2.0BytePlus $0.303/秒Runway 経由 $0.36/秒
Veo 3.1 FastGoogle $0.10/秒(音声込み)Runway 経由 $0.15/秒(音声あり)・$0.10/秒(音声なし)
MiniMax H3 / hailuo3MiniMax $0.08/秒(768P)Runway 経由 $0.10/秒(768P)

解像度の刻みや音声の既定が入口ごとに違うので厳密な同条件ではありません。それでも傾向は一つ—— モデルを束ねて出している入口は、元の提供元より少し高い。Runway の料金ページは、Model Router 経由の生成は 「ルーターが選んだモデルの標準単価で課金する」と書いています。

入口ではなくモデルを替えると差はもっと大きい。同じ 720p 級で $0.05(Veo 3.1 Lite、Runway Gen-4 Turbo、MiniMax H3-Max)から $0.40(Veo 3.1 Standard)まで 8 倍。冒頭のグラフはこの 8 倍を 1 分あたりで描いたものです——3 ドルから 24 ドル。

ここで変数①に戻ります。静かな会話カットと「子どもが絵に入る」カットは難しさが違う。 前者を $0.40 のモデルで回す理由はなく、後者を $0.05 のモデルで 45 回回して通らないなら、$0.40 のモデルで 5 回のほうが安い ($0.05 × 5 秒 × 45 回 = $11.25、$0.40 × 5 秒 × 5 回 = $10)。どのカットをどのモデルに出すかを決められることが、 変数①と②を動かす前提になります。

制作者が LibTV を選んだ理由も、報道ではここに重なります。深圳新聞網は制作者が 「その時のカットの画風に最も合う生成経路を柔軟に選べる」と述べたと伝え、新京報では氏自身が 画像生成は絵コンテづくりそのもので、そこが届かなければ制作の直接の制約になる——インタビューの趣旨です。 動画の秒単価より前に、カットの設計図の質で採用率が決まるという判断です。

コストは「一人で作れる」桁になった。残った変数は再生成とモデル選び

KAI-YOU の記事は、第 1 シーズンを全 6 話で構想し、今後は月 1〜2 話のペースで作ると締めています。 定価表の側から同じ締めを書きます。採用された 6 分の映像は、どのモデルを選んでも 18〜144 ドルの桁です。 コストはもう「一人で作れる」ところまで下がっています。 報道の 1 万元との差を作っているのは単価ではなく、 捨てた秒数と、グレードと、モデルの選び方。ボトルネックは計算資源の値段から、作り手の判断に移りました。

予算を組むときに変えるのは三つです。

  1. 予算は「尺 × 単価」ではなく「尺 × 単価 × 捨てる倍率」で組む。初期値は自分の過去カットから取る
  2. 解像度と音声はカット単位で決め、既定を 1080p にしない
  3. 一つのモデルに全カットを預けない。同じブリーフを 2〜3 モデルに通し、単価と採用率を記録する

ここに書いた金額は全て公開されている料金表と報道の数字で、私たちの計測は入っていません。 自分の作品の倍率は、自分の生成履歴にしか書いてありません。